コロナ感染下で居場所を失ったり孤立したりする若者たちのための居場所と関わり活動事業

団体名 若者を応援する地域ネットワークの会「ぶーば・にーば」

都道府県 新潟県

助成額 594,000円

活動開始日 2020/3/1

活動終了日 2021/3/31

助成金で行った活動の概要
1、居場所事業 若者のための居場所を年間152日開くことができました。その結果、のべ215人(実数19人)の若者とその家族などが参加しました。その中には、コロナ禍で外出の機会が失われた人、就活が出来なくなった人、家族のストレスが増して家に居られなくなった人、緊急事態宣言下で行政のサービスが受けられなくなった人、仕事が減らされ、寮に居場所がなくなった外国籍の若者などがいました。さらに、家族の事情で夜間を家で過ごせなくなった若者の緊急対応として、宿泊を伴う居場所も5日間提供しました。 活動内容は、基本的に参加者の状態と希望に添って選択しましたが、中でも地域活動の作業(手伝い)には多くの若者が参加し、誰かの役に立つ活動や地域とつながる活動を地域の人たち(スタッフ)と一緒に行っていました。居場所スタッフとしてジョブトレーニング(中間的就労)に参加した若者も、のべ168人(実数9人/計上7名)にのぼりました。  感染対策として、消毒、マスク、換気、人との距離の確保、定員は4人以下とし、安心安全な空間であることを心がけました。 2、訪問・関わり事業 元々外出が困難だった若者たちに加えて、コロナ禍の不安により外出が難しくなった若者たちのために訪問活動(6名に対してのべ41回)や電話による関わり(6名に対してのべ31回)、SNSによる関わり(7人に対してのべ638日)、手紙による関わり(4名に対して3回)を行いました。今冬は大雪に見舞われ、コロナに続く「第二の孤立」を引き起こす状況が発生したことから、来所したくても来ることができない若者たちと電話やSNSによる関わりを増やしてつながりを持ち続けました。その中には、コロナが誘因となった離婚の相談もありました。 特筆すべきは、JT様からの寄贈品が訪問活動に役立ったことです。訪問活動は、歓迎されることは少ない活動ですが、ギフトセット等をお届けした際には、「笑顔で受け取ってもらうことができた」「関係性の構築に役立った」、という報告が複数聞かれました。 3、会議・研修  多様な若者を受け入れることになり、9回の研修会と28回のミーティングを行い、会としての基本的な考え方を話し合いながら活動を継続しました。その結果、「回復」をめざすよりも「寄り添い」を基本としながら関わることを確認し、スタッフのみならず参加者の安心感にもつながったと思います。

活動日数 326日

支援対象者実人数 29人

支援対象者延べ人数 1,004人

参加ボランティア実人数 16人

参加ボランティア延べ人数 912人

本助成金による活動の成果
コロナ渦で行き場を失った多様な若者たちに居場所を提供できたことが第一の成果だったと言えます。緊急事態宣言発令直後には、行政の若者支援施設が一時(原則)利用中止になりましたが、そこに通えなくなった若者たちの受け皿にもなりました。また、何年もかかってようやくボランティア活動や地域活動が出来るまでになった矢先、緊急事態宣言下でそれらがことごとく中止になって行き場所を失った若者は、「やっと出られるようになったのに、行き場所がなくて、ここがあって良かった」と言っています。また、訪問看護サービスがストップしたため、一日中親の看護をしなければならなくなった若者の息抜きの場所にもなりました。宿泊利用は対応が大変でしたが、本人だけではなく家族からも感謝されました。「ストレスから逃れることができた」「ほっとする場所があって救われた」「居場所に来ることで外へ向かう気持ちを継続することが出来た」「ずっと泣いていたが、この場所があってよかった」という声が聞かれ、行き場を失った若者たちの助けになることができました。 第二に、居場所で行った活動も成果として挙げられます。人との交流はもちろんのこと、スタッフとしてジョブトレーニングに参加した若者たちは、報償費を得ることが動機づけとなって継続してこれに取り組むことができ、結果的にPCのスキルなども上達し就労への自信となったようです。他にも、シニアのボランティアにスマホの操作を教えて感謝されたり、地域活動、ミュージックベルや手話、手芸などの新しい経験に挑戦したりするなど、参加者の状態と希望に合わせた活動を臨機応変に行うことで、単なる逃げ場所としての居場所ではなく、一人ひとりが自分らしく時間を過ごし、成長する場所となったことは見落とすことができない成果だったと考えます。 第三に、訪問・関わり活動によって、行政とも誰ともつながっていない若者たちとつながりをもち続けたことは、今回の事業の中でも特に意義ある成果だったと認識しています。地道な活動を通して、彼らと関係性をもち続けることで、彼らを「孤立から守り」「ひとりにさせない」ことにつながっていると言えます。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
今回の活動を通して明らかになった課題は、以下の2つです。1、(当会以外に)誰ともつながっていない若者たちについて<連携と地域のまなざし>今回かかわった若者たち(直接会えないケース含)の中には、家族以外とのかかわりがほとんどない人たちが4名もいました。彼らは他者とのかかわりを求めておらず、家族もその必要を感じていないため、行政の支援ともむすびついていませんでした。彼らを孤立から守り続けていくためには、関わり活動の継続と同時に関連機関との連携も必要です。しかし、本人も家族も支援を必要としていないことから支援機関につながることは困難であり、大きな課題であることが分かりました。けれども、孤立している若者たちの問題は、行政機関とつながればそれでよい、というものではありません。社会に出られない若者たちの一番のネックになっているのは「社会のまなざし」であり、その変革が必要であることを感じます。したがって、地域社会全体が、ひきこもりがちな若者たちに向けるまなざしを変えていくための働きかけや発信が必要です。それは、「地域ネットワーク」を謳う私たちに課せられた大きな責任であり課題なのだと思います。今後は、これらの課題と向き合いながら、孤立しがちな若者たちへの応援を継続していきます。2、組織の在り方これだけの規模の活動を行ったのは初めてのことでしたが、地域における若者支援がまだまだ足りていないことを実感しました。同時に、ボランティア団体としての限界も痛感することとなりました。現在の組織では、実際に困っている若者たちを十分に助けることは難しいため、組織の在り方の検討と、会の活動内容や規模の検討が課題となりました。2021年度は、組織についての具体的な話し合いを行う予定です。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/buba.niba/posts/4100490453330072
https://www.facebook.com/buba.niba/posts/4078138838898567