孤立しがちなひとり親・若年者、中高年単身世帯・障がい者世帯・高齢世帯等の生活困窮世帯に向けた、おすそわけ食を活用した緊急食デリバリーと食マーケットで地域の情報弱者サポートする事業

団体名 ふーどばんくOSAKA

都道府県 大阪府

助成額 1,000,000

活動開始日 2020/3/1

活動終了日 2020/8/31

助成金で行った活動の概要
①食デリバリーで個人への緊急宅配支援 連携する施設や地域の支援活動団体などに加えて、普段連携を行っていない支援団体や支援要請のあった支援から漏れ落ちやすい層(中高年単身世帯・障がい者世帯・高齢者世帯・外国にルーツを持つ世帯・一人暮らしの大学生・児童養護施設退所者など)に対して、誰でもが受けられる食の緊急支援を実施し、米・ドライ食品・冷凍食品など世帯に合わせたパッケージを自宅または支援者を通じて提供を行った。 ②孤立防止支援として食マーケットの実施 公営集合住宅地域にて多く見られる、高齢者・中高年単身者・自営一人親方・ひとり親などの低所得層で、コロナ禍で影響を受けているが、情報弱者として孤立の可能性のある困窮世帯に対し、食マーケット(ドライ食品や冷凍食品の配布活動)を実施した。食品を配布することが目的ではなく地域で孤立させないことを目的とし、必要に応じて、特別定額給付金や失業給付の申請相談など専門相談員を派遣し、個別に書き方や申請方法をサポートを行いながら、詐欺、孤立、困窮を防止に努めた。 ③子ども食堂の再開サポート コロナ禍で感染防止のため場所・感染防止策などの課題により、休止を余儀なくなれていた子ども食堂に対し、活動再開のきっかけとなる食マーケットの実施を提案し、実施方法の説明やノウハウ提供を行った。実施団体に向けては食品および感染予防のための消毒液などを提供を行い、子ども食堂活動の再開・継続および感染防止の支援に努めた。 ④困窮者の有償ボランティア活用 失業で困窮する人でフードバンク活動に興味のある人を有償ボランティアスタッフとして一時的に雇い入れ、配送や軽作業等の業務に従事しながら、専門相談員による再就職に向けた就職活動支援を実施した。コロナ禍で不安定だった無償ボランティアの人員の代わりとなり、当法人の人員体制を支えてもらうことができ安定したフードバンク活動が行え、本人の意欲回復にも役立った。

活動日数 106

支援対象者実人数 464

支援対象者延べ人数 1,775

参加ボランティア実人数 33

参加ボランティア延べ人数 299

本助成金による活動の成果
情報弱者が支援対象だったことから、ホームページは個人だけではなく地域の人や支援団体・支援員個人への広報活動と位置づけて情報発信を行ったことで、支援を希望する世帯だけではなく、当団体と今まで連携のなかった地域活動団体や支援員などからも問い合わせがあり、新たな支援が必要な層を発見することができた。また、従来食を提供している団体や施設などからつながる個人への情報発信を行ってもらえるよう重点的に働きかけを行った結果、施設利用者だけではなく施設退所者などで頼る人がいない困窮者などへの支援にもつながった。 支援員とつながっていないホームページやお問い合わせから支援申し込みのあった世帯に対しては、専門相談員から現状の聞き取りを行い、孤立する困窮者の話を聞くことで少しの安堵感を与えることができた。また、相談支援にかかっていない困窮者に対しては行政の相談窓口や地域の支援団体への誘導を行うことで、実際の支援につながるケースもあった。 食マーケットでは、コロナ禍で出かけることができない地域の高齢者や障害を持つ人、ひとり親など、社会孤立しがちな人に食品を届けることができ、現状を確認することで詐欺等のトラブル防止や見守りにつながっている。新たな人の参加も見られ、継続することで地域のコミュニケーションや居場所や見守りとしての役割となっている。子ども食堂においてはアフターコロナの新たな活動方法として定着が期待される。 有償ボランティアについては、支援される側がフードバンク活動という支援する側になることで意欲を取り戻し、専門相談員に就職活動の支援を受けながら、新たな職に就くことができた。当法人としても、コロナ禍の人員体制や食品ロスが一時的に増加した時期の人員不足を解消でき、とても助けになった。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
5月以降、1カ月1万人のペースで失業者が増え続けていて、非正規労働者を中心に厳しい状況が続いていると厚生労働省の発表があった。今後も増加すると考えられる困窮者でかつ顕在化しにくい困窮世帯を地域と連携しながらどのように発見していくのか、地域力をどのようにサポートしていけるのか、ということが今後も重要と考えている。食の支援を受けた世帯のアンケートから、当法人の食の支援を続けてほしいという声が多くあったが、困窮する生活を改善するためには食の支援だけでは解決できないため、公共や地域の相談機関を利用するように促している。しかし、実際は公共の相談で食の支援を行っていない地域があることや、誘導した相談先では食の支援の条件があり食支援を受けられないなど、食の支援に格差が生じている現状もある。これらを解消する一助として、インフォーマルな活動である子ども食堂や地域活動であるが、子ども食堂団体も活動再開には三密を避けた形の場所や活動方法などの課題から、踏み切れない団体も多い。コロナ前の活動方式からアフターコロナでの活動方式を他団体のノウハウを共有しながら、活動再開のきっかけを地道に作ってサポートしていくことが当団体の役割であり、子ども達や保護者への一つの支援につながると考えている。また、子ども以外の世帯に対しては、支援者や支援団体とつながることや、地域とつながり、おすそわけ食マーケットやデリバリーを実施してくれる活動団体を探して、活動自体を広めていくことであると考えている。 一方で、一時的な混乱から新しい生活様式への変化が安定したことからか、徐々に食品提供量が減少傾向にあり、お米や冷凍食品の食品提供が激減している現状がある。食品ロスが削減されるという点では良いことだが、支援を必要とする人が増えるなか、どのように安定して食の支援を行っていけるのか、今後も検討が必要な課題である。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.foodbank-osaka.jp/news/cat/label2/2031#bodyarea