地域における生活困窮家庭を主な対象とする食料支援事業

団体名 こども食堂わかやま

都道府県 和歌山県

助成額 380,000円

活動開始日 2020/9/1

活動終了日 2021/3/31

助成金で行った活動の概要
当団体は単体のこども食堂の運営だけでなく、他の地域への普及、啓発の活動をしてきた。しかし2021年3月のコロナ感染拡大後、大勢で賑やかな会食である子ども食堂は自粛せざるを得なくなった。しかし4月に一人のシングルマザーが食料を求めて頼ってきたことから、フードパントリーを始めることになった。食料の仕入れには自らも動いて、コロナで行き場を失った食材などを卸市場からかき集めた。そして地域に埋もれた困窮家庭のアンテナとして期待される子ども食堂の意義を、スタッフ一同で再確認し、5月以降は食料配給に活動の大部分をシフトさせ、一人でも多くの困窮家庭の生活を支えようと努めて来た。一人のシングルマザーから始まったフードパントリーであるが、その数は日に日に増し、8月時点で100家庭を超え、現在は176家庭と繋がり、支援している。支援している家庭は、休業による収入減のストレスから、子どもに手を挙げてしまいそうになると泣きながら話すシングルマザーや、母子生活支援施設から退所した直後にコロナが広がり、親族など頼れる人がいなくて不安で、夜に食料を求めてきた人もいる。多数のリストカット跡のある方も支援している。このような行政による支援では不十分な人を一人でも多く支えていくのが現在の活動である。一方で、他のこども食堂でも近くの困窮家庭が食料を頼ってきたケースはあり、フードパントリーを始めるという動きが見られた。そこで他のこども食堂にも呼び掛け、調達した食料を届けることになった。その際、お互いの悩みを共有し、共に解決に向かう組織が必要であることを痛感し、ネットワーク化にも努めることになった。非常時における連携意識の高まりもあり、3月15日には和歌山こども食堂ネットワークを発足させることができた。当団体はフードバンクという名前は入っていないが、近所の方々のフードドライブや一人一人に手渡すフードパントリーが活動のメインであり、顔の見える関係を重視している。食品提供団体は少ないが、個人の食品提供者は多い。フードバンクのような企業から大量の食材を一気に引き受けることも大切だが、たとえ一人の高齢者によるキャベツ3つの提供の申し出も断ることなく頂いてきた。いわば提供団体と支援団体の仲介ではなく、提供者と支援者の仲介と言える。 実際の困窮家庭に直に手渡すフロントエンドとしての子ども食堂の意義を発信していき、地域共生社会の理想の姿に近づける活動である。今後も子ども食堂間での食材の共有に力を入れ、こどものいる困窮家庭に責任をもって届け、支えていく活動を展開していく予定である。

活動日数 58

支援対象者実人数 176

支援対象者延べ人数 1500

参加ボランティア実人数 12

参加ボランティア延べ人数 141

本助成金による活動の成果
当団体の活動はこども食堂がメインであったが、食料を頼ってくる地域の困窮家庭に応えようとフードパントリーを始め、日に日に増してくる支援者に追いつくように食料を仕入れないといけないことからフードバンク活動を始めることになった。日頃から地域住民との関わりを大切にしてきたので、困窮家庭への食料配布をしていることを知った方々から、家庭で余った食材を持ち寄ってくれるようになった。こども食堂は会食するだけでなく、余った食材を必要な家庭に届ける地域のパイプ役として機能していることを広く発信できたのは大きな成果である。そして県内に39カ所あるこども食堂が、それぞれの地域で必要な家庭に食料を渡す取り組みについて共感、賛同し、連携しながらネットワーク化を進めるころが出来たのも大きな成果である。特に近くに相談できる子ども食堂がない地域では、運営者も心細かったが、コロナ禍という災害で連携の意識が高まり、子ども食堂の子ども食堂による子ども食堂の為のフードバンクを立ち上げることが出来たのは大きいと考えている。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
食料を仕入れることより手渡すことに注力してきたので、どのような人に渡したのか、その際どのような信頼関係を築けたのか、また行政窓口や他の民間支援団体に繋げることが出来たのか、といったアウトプットをより明瞭にすることが必要だと感じている。食品企業など提供団体から仕入れて福祉施設など支援団体に廻すのは、いわばBtoBの活動である。こども食堂は近所の方々の家庭で余った食材を、地域に埋もれた困窮家庭に手渡すという、CtoCの活動に近いと考えている。大きなフードバンク団体のように大量の食材を仕入れることはできないが、地域に点在する子ども食堂ネットワークを駆使して、少量の食材でも確実に地域の困窮家庭に届けられる所に意義があると考えている。キャベツ3つでも温かい心のこもった食材こそ積極的に頂きに行き、本当に困っている家庭と顔の見える関係を築き、温かい心を届けることに値打ちがあることを発信していくことが課題である。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/onominato.kodomo/posts/1073367603135998
https://mainichi.jp/articles/20210325/ddl/k30/040/371000c