外国にルーツをもつ生活困窮世帯の児童生徒に対する学習支援事業「たかはまがくしゅうサポート」

団体名 特定非営利活動法人アスクネット

都道府県 愛知県

助成額 1,460,000円

活動開始日 2021/4/6

活動終了日 2022/3/31

助成金で行った活動の概要
愛知県高浜市では外国人人口の割合が比較的高く、市内人口の約9%を占めており(近隣市約3%~6%程度)、加えて、新型コロナウイルス感染症拡大後、市内小中学校では特に外国にルーツを持つ児童生徒の学習の遅れや不登校が課題となっている。こうした中で学校だけでは個別支援が行き届かないことが懸念される。そこで、主に外国にルーツを持つ困窮世帯(生活保護世帯、就学援助受給世帯、ひとり親世帯)の小中学生を対象とした学習支援を週1回程度(平日夕方4時間程度)実施した。約10名の児童生徒が参加し、実施回数46回で延べ251名が参加した。学校の宿題や日本語指導の補助を行い、学校の授業内容や言語理解のサポートを行った。また、外部の日本語コーチングの専門家(「一般社団法人ひとと」と連携)を活用し、オンラインにて日本語学習をおこなった。さらに、市内の小中学校と連携し、学習の様子や学校生活などにおいて必要な情報の共有をおこない、より良い支援につながるようにした。今後は市内のさまざまな機関と連携し、継続して切れ目のない支援をおこなうことを目指す。【主な活動内容】・学校の宿題やテスト勉強、日本語指導の補助・外部講師を活用したキャリア講座、アート講座・外部講師を活用したオンライン日本語学習・軽食などを用意し、食事支援をおこなうと同時に、日本の季節文化などを学ぶ機会の提供・小中学校と連携した情報共有・外部講師を活用したスタッフ・ボランティア研修 など

活動日数 46

支援対象者実人数 10

支援対象者延べ人数 251

参加ボランティア実人数 8

参加ボランティア延べ人数 71

本助成金による活動の成果
・学校の宿題やテスト勉強、日本語指導の補助毎週1回、平日の夕方を活用して学習支援教室を開催した。児童生徒によって日本語の習熟度や学校の学習の習熟度が異なり、一人ひとりに合わせた個別学習でサポートした。児童生徒は継続的に参加し、楽しく学習するだけでなく、進路の相談や学校生活における困りごとの相談など、居場所としての機能も果たした。・外部講師を活用したキャリア講座、アート講座学習のサポートだけでなく、キャリア教育や様々な学習の機会を提供した。外部講師を招いたおこなったアート講座では、自分たちの目標をイメージした作品などを制作した。・外部講師を活用したオンライン日本語学習「一般社団法人ひとと」と連携し、日本語コーチングの専門家とオンラインでつないで母語と日本語の学習をした。講師は参加児童生徒の日本語の理解度などのアセスメントをおこない、ミーティングを通して支援に関する内容の情報共有をおこなった。・軽食など、食事支援の提供毎回参加者向けに軽食(調理パン等)などを用意し、食事支援をおこなった。ハロウィンやクリスマス、節分など季節のイベント等に一緒に楽しむなど、家庭環境によってこれまであまり体験できなかったことを体験することができた。・小中学校と連携した情報共有毎月1回、各小中学校に訪問し、学習の様子や生活の様子、学校での様子などの情報交換をおこなった。・外部講師を活用したスタッフ・ボランティア研修「一般社団法人ひとと」を講師に、スタッフ・ボランティア向けに研修を連続講座で3回実施した。外国にルーツをもつ児童生徒の背景や、支援の工夫、日本語アセスメントについて学び、現場の運営に活かすことができた。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
学校との連携を通して、児童生徒の継続的な参加と情報共有につながった。ある生徒は、学校に行きづらさを感じ、不登校傾向にあった時期もありながら、学習支援の中で悩みを打ち明けたり、学校との情報共有を密に取ったりしながら、現在は安定して学校に通うことができている。そうした事例がある中で、学習支援教室まで遠いため通うことができなかったり、コロナ禍で参加を辞退する家庭もあった。さらに、外国人人口の高さにもかかわらず、支援が行き届いていない家庭や、各種支援団体や学校でも把握できていない情報なども多くあり、外国にルーツのある家庭の貧困状態やどのようなことに困っているかなど、状況把握を進める必要があると考える。そのため、今後は学習支援と並行して学校や地域における調査などを進めていく必要がある。また、支援団体同士で手を組み、連携することで、継続して切れ目のない支援を続けることにつながる。市内外の支援団体や、行政等ともこれまで以上に密に連携して支援を続けていく必要がある。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://asknet.org/about_asknet/outline/



寄付してくれた人へのメッセージ
居場所を失った人への緊急活動応援助成に関わっていただいたみなさまへ 今回、本事業を通じて多くの子どもたちが居場所として学習支援に継続して参加することができました。「学習支援」や「居場所づくり」は、成果としてすぐに何かが解決するわけではありません。しかしながら継続的に自分のペースで学習をすることができたり、学校生活の悩みごとをいつでも相談できたりと、これまで当たり前にできなかったことをできるようになった子どもたちもいます。まだまだ「助けて」と言えずに埋もれている子どもたちもいるかもしれません。今後は、今来ている子どもたちが安心して続けることができる教室を運営しつつ、見えない氷山の一角から、少しずつ支援が必要な子どもたちが減っていくようにサポートを続けていきたいと思います。引き続き応援よろしくお願いいたします。