職を失った親のための、ステップアップ事業

団体名 特定非営利活動法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク

都道府県 東京都

助成額 2,548,812円

活動開始日 2021/4/1

活動終了日 2022/3/31

助成金で行った活動の概要
職場(居場所)と収入を失った子育て中の親を対象に、3つの活動を実施した。全ての活動において、当事者同志の交流と地域コミュニティとつながるきっかけの場を提供した。【1】「としまフードサポートプロジェクト」準備作業の提供(作業日数194日、のべ995時間、のべ226人に提供) 毎月約600世帯の生活困窮子育て世帯対象の食料支援活動のための、食材調達と袋詰め作業、各拠点への搬出作業、地域ボランティアと共にピックアップ拠点の運営等の作業を担ってもらう。計画や段取りなども、主体的に実施してもらう。「自身がコロナ感染したら、子どもはどうなるのだろう」という不安を抱えているため、天候に関わらず作業は屋外にて実施した。参加者には家計を支えるためのアルバイト代を支給した。【2】「SDGsカフェ」イベントの運営(作業日数95日、のべ794時間、のべ178人) 親もSDGsについて考える機会と、仕事や子育ての不安を吐露できて、衣類や雑貨など子育てに必須なモノを無料で持ちかえることができる持続可能なカフェを開催した。「食材だけでなく、余剰の洋服やおさがりも受け取れる楽しいカフェがあったらいいのに」という当事者の声がきっかけで実現した企画なので、計画運営も当事者に任せた。開催場所は交通の便がよい池袋駅近くの「区民ひろば西池袋」 キャリアアップのためにネイルを学んだひとり親によるネイルサロンコーナーも設けた。毎月担当者がSDGsについて調べて発表し「自分にできること」について意見交換した。また、キャリアカウンセリングや、CAPスタッフに来てもらい相談できる環境を創った。開催日:7/28(水) 8/25(水) 9/29(水)  10/27(水) 11/25(木) 12/27(日) 1/30(日) 2/14(月) 3/20(日) の14時~16時(13時から準備、17時撤収)【3】パソコンスキルアップ講座の実施(作業日数28日、のべ123時間、のべ113人)再就職の時に有利になるためのパソコン(ワード、エクセル)を学ぶスキルアップ講座を、豊島区の生涯学習センター「未来館たいめい」パソコンルームにて実施した。定員20名を予定していたが、コロナ感染拡大予防と、手厚いスタッフサポート体制で実施するため定員は10名に縮小した。講師は専門講師に依頼した。開催日時 12/9、16、23 1/13、20、27、2/10(積雪のため中止)、17、24、3/7、14、21、30(2/10の振り替え)10時~12時【1】~【3】企画運営を、当NPOスタッフの伴走支援を得ながら、失業した親が中心となって実施する。【1】~【3】に参加する対象は、困窮している子育て家庭。

活動日数 317

支援対象者実人数 39

支援対象者延べ人数 602

参加ボランティア実人数 200

参加ボランティア延べ人数 1,200

本助成金による活動の成果
【1】「としまフードサポートプロジェクト」準備作業に関わる当事者は、フードサポートの受益者でもあるためニーズに合わせた食材を調達・準備ができた。準備した食材を受け取る受益者や、地域ボランティアから感謝され、自己を肯定できる機会となった。【2】「SDGsカフェ」運営 これまで自身の境遇や不安を相談したことない、または、話したくなかったという仲間同士が安心して語り合い、自尊感情を取り戻す機会となった。またSDGsを学んだことで新たな価値観に出会う機会となった。【3】パソコンスキルアップ講座の運営および参加 パソコン講座に関しては、外部資源を伴う運営のため当団体がリードしながらの実施となった。初心者向けの講座ではあったが、それぞれの受講者の習得レベルが異なるため講師の他にスタッフが3名体制でサポートし、欠席者には補講講座を行い全員が講座について来られるよう工夫した。講座参加者からは「自信が持てるようになった」「同じ境遇の人が集まって、みんなで頑張ることができた」という声をもらった。以上3つの活動を通じて、これまで不安の中で、指示された仕事をこなし疲弊してきた親たちが、つながることで状況が変えることができることこと、不安を解消できること、よりよい場を主体的に創ることを経験した。活動参加者3名を紹介する。①2020年暮れに解雇になったが、自分でもできそうなのでフードサポートアルバイトに参加した。自身もひとり親家庭で育ち、現在は親との交流はない。アルバイトを通じて相談できる人ができた。食料を受け取る子どものために活動できて良かったと思えた。現在は職業訓練を受けて就活中である。②2021年春、勤務時間を大幅に減らされて退職。当初はSDGsカフェで就労の悩みを相談する中で、やりたいことが明確になり現在保育園で勤務。いつかは保育士資格を取得したいと思えた。③アルバイトで関わり地域コミュニティにつながった。パソコンスキルアップ研修ではスタッフとして参加者のサポート役を務めたが、自身もワードやエクセルを深く学ぶことができた。このつながりがきっかけとなり、春から地域の高齢者施設に就職した。活動には継続して参加したいという。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
今回の活動につながった親のうち、少なくても4名の親は高卒の資格がなく、将来にあきらめや不満を抱えている。子育てをしながらの高卒資格取得を自身の力で進めることは難しい。見守りながら、前向きになるタイミングが来たら支援できる関係を維持したい。また就労の志望動機を記入することもハードルが高いことがわかったし、海外ルーツの親は「履歴書」の意味も不明である。就労につながった親のうち2人は、身元保証人を誰にも頼めないという課題もわかった。今年度から当団体は、引き続き実施する「SDGsカフェ」や「フードサポート作業」に関わる当事者のみなさんと連携しながら就労支援相談窓口を設置して、書類作成の準備や、ハローワークや面接の同伴等も実施する。就労の受け皿になる地域企業の開拓にも力を入れる予定である。就労につながるための「パソコンスキルアップ講座」は、コロナ感染が拡大し企業連携での実施は叶わなかったがノウハウの蓄積はできた。今後はボランティアを募り自前で講座を継続する予定ではあるが、貸し出し練習用パソコンの調達は課題である。これまでのコロナ禍2年間で、孤立している弱い立場の親たち同士が出会いつながり支え合いの機会を創ってきた。コロナ3年目は、このつながりの輪をさらに広げ必要な活動を当事者と地域住民たちが共に「協同労働」できるために、地域の様々なステークスホルダーとの連携体制を作っていきたい。 

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://toshimawakuwaku.com/2021/12/01/computer/
https://toshimawakuwaku.com/wp-content/uploads/2021/12/web_vol10.pdf



寄付してくれた人へのメッセージ
WAKUWAKUは、設立当初から子どもの最善の利益のために活動してきました。しかしコロナ感染拡大により、親の就労や住まい支援などのおせっかいな支援まで手を広げ、つながり続けなければ、子どもが安心して成長できる暮らし環境を創れない状況となりました。今こそ、子育てを親の責任にすることなく、地域があらゆる支援を創り、子どもの育ちを支えなければなりません。多くの皆さまのご寄附に支えていただき、これからも活動を開発していきたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします。ありがとうございました。