都道府県 兵庫県
助成額 2,980,000円
活動開始日 2021/12/1
活動終了日 2022/12/31
助成金で行った活動の概要
DV被害や虐待から逃れたい女性やその子どもたちや単身女性のうち、すぐの住宅設定が難しい方に対して、離婚成立や、就労ないし生活保護受給など、心身共に生活が安定するまで滞在できる支援付住宅(ステップハウス)の提供を行うことが本事業の目的である。ステップハウスは、半年~最長1年間の滞在を前提とし、本人や同伴家族が希望する場合には、通勤や通学など、通常の住宅と同様の生活を行うことができる住宅である。今回の助成では、当事者のニーズに対応する形で、2か所4部屋のステップハウスを運営した。1か所は単身女性から乳幼児を抱える女性向け、もう1か所は就学している子どもを持つ女性でも入居できるようなファミリー向けの部屋を、2部屋ずつ運営したが、いずれのステップハウスも、常に満室状態が続いた。本ステップハウス事業では、生活の場の提供を行っただけでなく、DVや虐待への知識と理解のある当団体支援員やボランティア、場合によっては専門家等が必要に応じて滞在中のケアを行うなど、ステップハウス後の自立に向けた当事者に寄り添った伴走型支援を行った。滞在中のケアには、日々の相談だけでなく、定期的な食糧支援、仕事や家探し、病院受診同行、奨学金の手続き、生活保護手続きや子どもの学校関連手続、児童扶養手当受給手続きなど、行政手続きの同行が含まれる。なお、滞在者に対しては、緊急時にも連絡が出来るように夜間でもつながるスタッフの業務用携帯の番号を伝え、孤独感の軽減や、緊急時にも頼れる人の存在を持つことによる生活不安の軽減サポートを行った。
活動日数 396
支援対象者実人数 9
支援対象者延べ人数 2054
参加ボランティア実人数 6
参加ボランティア延べ人数 342
本助成金による活動の成果
DVや虐待を受けている方からの家探しの相談は増加しているが、相談者の多くは所持金が少なかったり保証人がいないなど、住宅設定が難しい。また、仕事や通学の継続を強く希望する方も多い。そのような方のニーズにこたえるには、即日生活ができ、半年~1年間滞在できて、行動に制限のないステップハウスが不可欠である。本助成では、経済的な問題や生活不安からすぐの住宅設定が難しい5家族9人の方がステップハウスに入居した。現在滞在中の2家族を除き、残り3家族はいずれも、その後住宅設定を行い就労や通学、生活保護を受給しての安定的な生活を行うことができている。ステップハウス入居時には、DVや虐待の影響で自己決定が難しかったり、不安定な状態であった支援対象者が、継続的なスタッフの見守りと支援、生活サポートを通じて、子どもの特性に合った学校への通学が可能になったり、離婚調停中の不安定な時期を乗り越え離婚が成立したり、自分自身で行動し自分自身で決定を行えるようになった。ステップハウス入居前には、不安定感と不安とを抱えていた女性とその子どもたちが、ステップハウスの滞在とスタッフによる伴走支援を通して、自分自身が安定して定着できる場を見出すことができたことが、本助成による事業の成果である。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
通勤・通学が可能で、常時専門スタッフによる伴走型支援を行うステップハウスへの入居を希望する相談者が多く、本事業で運営したステップハウスも常に入居者がいる状態であったため、タイミング悪く入居希望の方の希望に沿うことができない場合があった。需要と供給のバランスが難しく、年々希望者も増加しており、需要が多いことは感じているが、なかなかそれに対応するだけの経済的人的基盤を整えることが難しいことが課題である。また支援においては、ステップハウス利用者は精神的な不安定な方が多く、入居後のトラブルも発生した。隣人トラブルなど、当団体と支援者との関係だけでなく、第三者との関係調整も必要であり、支援スタッフの負担が大きくなる場合があり、ステップハウス運営及び支援スタッフの負担軽減などの点も課題である。このような課題を踏まえ、今後は、他団体連携をより質的にも量的にも高めていく予定である。従来より他団体と連携を行ってきたが、食糧支援や衣服支援などの物理的な連携だけでなく、精神や子どもサポートや医療の連携といったサポートを行っている他団体との連携を、頻度を高めることによって、支援対象者へのより質の高い支援の提供と、支援スタッフの負担軽減に取り組んでいく予定である。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://wn-kobe.or.jp/?p=3364
寄付してくれた人へのメッセージ
この度は、みなさまの温かいご寄付により、多様な当事者に合わせたステップハウスを運営し、サポートすることが出来ました。当団体は長年にわたって困難を抱える女性やその子どもたちをサポートしてきました。コロナ禍以後相談件数も増え、新たな住居を希望しているがすぐの取得が経済的社会的又は心理的に難しい方や、継続的な就労や就学を希望する相談者の割合が高まっています。皆様のご寄付により、そのような方たちに、「すぐに住めるよ」とステップハウスを提供し、滞在中も伴走型支援で自立のサポートをすることが出来ました。心よりお礼申し上げます。