都道府県 鹿児島県
助成額 2,360,176円
活動開始日 2021/12/1
活動終了日 2022/12/31
助成金で行った活動の概要
当法人が居住支援を行う方が抱える問題として「日々の生活の困りごとを頼れる身寄りが存在しない」というものがあります。そのような方は地域社会や他者とのつながりも希薄となり、深刻な孤独・孤立に陥る可能性があります。このコロナ禍における社会的な動向は、そのような方の孤独・孤立を深刻化させるだけではなく、新たな孤独・孤立を生む危険性がありました。その対策として当法人は以下の活動を実施しました。(1)「身寄りがない当事者による当事者への個別訪問活動」身寄りがない立場としてその孤独・孤立を知る当事者が対象者107名へ合計251回の個別訪問を実施しました。そこではコロナ禍における不安の解消だけではなく安否確認や居場所運営への参加の呼びかけも行いました。(2)「居場所の運営」コロナ禍により孤独・孤立に陥っている方、その可能性がある方がつながりと社会的役割を取り戻すための居場所運営を2会場で74回開催しました。つながりと役割づくりだけではなく、コロナウイルスワクチン接種の予約や助成金申請方法が分からない方へのサポートや緊急連絡先カードの作成も行いました。また、当法人が推進する『つながるファイル』の作成を通じて身寄りがない方の孤独・孤立への不安を考える機会を創出しました。緊急事態においても当事者同士の支え合いとつながりが孤独・孤立の防止に有効に作用すること、それを確信できる活動となりました。
活動日数 261
支援対象者実人数 107
支援対象者延べ人数 251
参加ボランティア実人数 11
参加ボランティア延べ人数 72
本助成金による活動の成果
当事者の方との連携は兼ねてより行っていましたが、事業という形式で当事者8名の方と活動を共にする中で改めて連携の重要性を感じました。特に「同じ境遇の当事者だから話せる・頼れる」ことが問題の早期発見を生むことの実感があります。加えて、個別訪問を行った当事者の方の役割を創出することの大きな手応えも得ることができました。活動ごとの成果は以下の通りです。(1)「身寄りがない当事者による当事者への個別訪問活動」この活動によって当事者同士の支えあいとつながりが新たに生まれ深まったことは間違いありません。また、他者との接点を望まず携帯電話も所持しない方とのコミュニケーションの多様性が生まれました。活動地域となった鹿児島市においては期間中に2度の緊急事態宣言が発令され、孤独・孤立対策と感染防止のいずれにも対応が必要となる中で多くの葛藤と議論がありました。その対応に苦慮する一方で、当事者間のつながりや支えあいの創出と推進を実現するヒントや課題発見があり、今後もその活動を継続する上での貴重な取り組みとなりました。(2)「居場所の運営」居場所運営においては、当事者のつながりと役割づくりだけではなく、コロナウイルスワクチン接種の予約や助成金申請方法が分からない方へのサポートも行い必要な支援を行き届かせるための一つのきっかけとなりました。また、当法人が推進する『つながるファイル』の作成を通じて身寄りがない方の孤独・孤立への不安を考える機会を創出しました。居場所運営で取り組んだ「緊急連絡先カード」の作成においては「緊急連絡先となることを誰かにお願いする」ということが必要になりますが、その行為によって当事者間のつながりが更に深まる姿を目にすることができました。共通していることは、つながりと支えあいを生むには「きっかけ」が必要となることです。本事業の活動によって多くのきっかけが生まれました。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
事業を実施できたことで見出した課題と今後の取り組みは以下の通りです。1.【円滑な安否確認の実施方法】コロナ禍という緊急事態の中だけではなく、平時においても孤独・孤立を防ぐためのつながりと支えあいが必要です。孤独・孤立の帰結として、孤独死という多くの方が望まない人の最後があります。その孤独死をなくすための一つの手段に「安否確認」がありますが、経済的理由や煩わしいという理由で携帯電話を所持しない方、他者とのつながりを強く求めず訪問しても拒む方の存在があります。今回の活動においては、その問題への創意工夫のひとつとして文通形式でのやり取りが生まれましたが、引き続きコミュニケーションの多様性を模索し、円滑な安否確認を実現することの必要性を感じています。2.【人それぞれで異なる「コロナウイルス感染」への不安を踏まえた対応】コロナウイルス感染への不安が非常に大きい方、一方ではその不安を持たない方、当事者においてもその不安への大きな差異を感じました。前者であれば他人との接触を極力なくす選択をしますが、後者においてはコロナ禍という緊急事態だからこそつながりを生みそれを維持するための行動を望みます。コロナ禍だからこそ孤独・孤立を防止する取り組みが必要となる中、当然ながら個々の不安も尊重する必要があります。特に緊急事態宣言が発令された時期には個別訪問を一時自粛しましたが、その決定においては「自粛するか,あえて継続するか」という点で大きな葛藤と議論が生まれました。緊急事態においても組織としての意思決定を迅速に行うためにガイドライン等を作成して備える必要性を感じました。2023年1月時点においてもコロナウイルスの感染は終息しておらず、平時にも増して孤独・孤立への対策が必要となります。冒頭でも述べましたが,孤独・孤立の帰結として発生するのが孤独死です。当法人では全員が主役となって孤独死ゼロ社会の実現を目指すプロジェクト「孤独死ゼロアクション~誰かのそばに、誰かがそばに~」を2023年2月より始動します。本事業で培った経験と新たに発見した課題をこのプロジェクトにも反映させ、コロナ禍のような事態においてもつながり・支えあいの喪失が起こらない社会の実現を目指して参ります。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://npo-yadokari.jp/2023/04/10/1222/
https://www.facebook.com/hashtag/%E3%82%84%E3%81%A9%E3%81%8B%E3%82%8A%E9%80%9A%E4%BF%A1
寄付してくれた人へのメッセージ
人はわずかな共通点ときっかけでつながることができます。皆さまの寄付のおかげでコロナ禍においても身寄りのない当事者同士がつながり・支え合う多くのきっかけを創出することができました。また、当法人が取り組む課題として掲げている孤独・孤立対策についても新たなアイデアと多くの気づきを得る機会となりました。職員一同,寄付を頂いた皆さまへの感謝を心より申し上げます。