プロの芸術家による表現ワークショップを通じた、生活に困難がある子どものための交流及び共同創作事業

団体名 NPO法人芸術家と子どもたち

都道府県 東京都

助成額 1,000,000円

活動開始日 2023/4/1

活動終了日 2023/9/30

助成金で行った活動の概要
2023年5月から9月にかけて、プロのアーティストによる継続ワークショップを2グループで実施。最終日9月30日の発表会では、2つのグループが一緒になって、ワークショップで創作したオリジナル作品『ふしぎな海の物語』を発表した。NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークを通してアプローチした豊島区内のひとり親家庭や困窮家庭の子どもたち、外国にルーツを持つ子どもたち年中~中学2年生22人とは、演劇やダンスなど多様な表現活動を取り入れたワークショップを、豊島区内の区民集会室で6回(発表1日含む)実施した。講師のアーティストは、幼児から小中高生、特別支援学級など豊富な子ども対象のワークショップ経験を有する渡辺麻依(演出家・俳優)、酒井直之(振付家・ダンサー)を起用し、俳優やダンサーとして活動するアシスタント・アーティスト4名も参加した。母子生活支援施設では、施設で暮らす小学3年生~中学1年生5人の子どもを対象に[音楽]のワークショップを6回(発表1日含む)実施。アーティストは幼児から小中学生まで豊富な子ども対象のワークショップ経験のある中村大史(音楽家・作曲家)を起用した。最終日には2つのグループが交流して、演劇作品の発表を行った。発表会では本格的な舞台公演に近い体験ができるよう、照明や衣装なども用意し、お芝居あり、踊りあり、楽器演奏ありの盛沢山の作品を上演した。発表会は、保護者や、地域で子どもたちの支援に関わっている大人等26名が観覧した。

活動日数 11日

支援対象者実人数 27人

支援対象者延べ人数 104人

参加ボランティア実人数 2人

参加ボランティア延べ人数 6人

本助成金による活動の成果
ワークショップに参加した子どもたちからは、「みんな楽しんでいて良かった。みんなと協力できていた。(中1)」「みんなとやるととても楽しかったです。(小6)」「みんながすごい頑張って、自分も頑張る気になれた。(小2)」などの声が聞かれ、相互に関わり合い、創造することを楽しんでいた様子が伺える。発表会には、豊島区内の子ども食堂や学習支援団体の関係者も来場し、地域の支援者が関心を寄せていたことが伺えた。発表を観覧した大人からは、「いつも地域で会っている時とイメージが違ったので、別の一面を見られたようです。」「前回までは自分のことで精一杯だった子が、他の子の動きを見てあげることができていて、成長したなあと思いました。」「生き生きと堂々と表現していて成長を感じた。」「自分なりに表現しているところが上手いと思いました。今後も音楽にふれて楽しんでいって欲しいです。」など、好意的な感想が多く寄せられた。また、「参加前は人前に立つのが苦手で、このワークショップも少し逃げ気味だったのですが、練習後自信をつけたのか、堂々と舞台に立てていました。」「時間を気にするようになったり、『人魚だとどんなメイクするのかな?』と言って研究したりしていた。」「蕎麦屋さんで、大きい声で『ごちそうさまでした!』と言うようになりました。」など、日常生活の中でも変化があった子どもがいたと知ることができた。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
発表後に行った、協力団体職員とアーティストを交えた本事業の振り返りのなかで、自宅からの通いやすさや興味の内容に応じて、演劇&ダンスと音楽それぞれのワークショップを紹介できていたらより良かったという意見があった。演劇&ダンスワークショップに参加していた、ひとり親家庭や困窮家庭、外国にルーツを持つ子どもたちの中には、家庭内での後押しがなく、協力団体による継続的な声掛けや送迎のフォローがないとワークショップ会場にたどり着けなかった子どもがいた。様々な場で支援を必要とし、生きづらさを抱える子どもたちが、学校以外の場で安心して自分を表現する場に参加することで日常生活にもいい変化が起きたかもしれないとのことであった。そういった子どもの状況を見過ごさず、地域の大人たちが根気よく継続的にドアをたたき続けること、地域や他者とのつながりを持てる居場所を継続していくことの重要性を改めて認識できた。なお、豊島区内の支援が必要な子どもたちとの活動は、本事業終了後も他の助成金や寄付金など複数の財源を併用しながら継続していくこととなった。認定NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークや母子生活支援施設との連携を強化し、行政へ支援の必要性を訴える等、働きかけも続けていく。発表会以外にも子どもたちの交流の機会を設け、地域の中の支援団体につながり、様々な表現方法を知りながら他者との関わり合いを経験できるようなきっかけを生み出せるよう準備を進めている。また、本事業で育成する経験の浅いスタッフを引き続き起用しながらコーディネートのできる人材育成も継続する。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://x.com/children_artist/status/1672068437286490112?s=20
https://www.children-art.net/staffblog/archives/3694



寄付してくれた人へのメッセージ
様々な場で支援を必要とし、生きづらさを抱える子どもたちが、アーティスト・ワークショップを通して丁寧に他者と関わり、様々な表現方法に出会うなかで、目を輝かせ、安心して自分を表現し、心を解放する姿を見ることができました。一つの演劇作品をつくりあげる過程では、子どもたち同士が互いに助け合う様子も印象的でした。かけがえのない時間を皆さまのご支援のおかげで実現することができました。子どもたちはもちろん、保護者や地域の方々から、たくさんの喜びの声をいただきました。あたたかいご支援に心よりお礼申し上げます。