若年妊婦、ひとり親、外国にルーツを持つ母子等、社会的孤立に陥りやすい子育て世帯への助産師による支援活動

団体名 公益社団法人東京都助産師会江戸川地区分会

都道府県 東京都

助成額 239,148円

活動開始日 2023/4/16

活動終了日 2024/3/24

助成金で行った活動の概要
対象を孤立しがちな①外国にルーツを持つ子育て家庭および妊産婦とそのパートナーの支援 ②若年(10代~22歳)で妊娠・出産をひかえているまたは育児中の母親の支援 ③シングルで妊娠・出産をひかえているまたは育児中の母親・父親の支援とし、それぞれが持っている自己解決力を引き出し自信をもって育児にあたれるように寄り添い支え合う仕組みづくりを構築するために月一回「ここプロ」と銘打ち座談会、講義、実習、食事会の形式でプログラムを展開した。①について初回は外国にルーツを持つ子育て世代の人々と座談会を持ち、日本での出産・育児の体験談を聞き取り日本の産院で行われている妊婦健診、両親学級、出産時とその後の授乳指導や入院食等に母国の習慣と大きな乖離があることを知った。座談会の内容から、予定していた出産準備教室を「母国の文化風習を尊重しながら、日本の育児にまつわる習慣」を伝えることを重視し、さらに子育てのイメージが持てるように育児中の母子との懇談の場を設けた。参加者の意見から妊婦体験も兼用できる胎児モデル付きのセットを購入し育児のスキルの伝達と実習を行った。毎回無料でおにぎりと味噌汁を提供。日本の食生活の話題が深まり、妊娠期の栄養の取り方の説明、味噌汁をアレンジした離乳食の作り方など試食も好評を得た。②③について 若年妊産婦、ひとり親への参加呼びかけには行政機関に赴き相談窓口にチラシの設置を依頼するとともに、昨今の母子を取り巻く課題や展望を共に考える機会を持った。②は世代的にSNSによる情報キャッチが優位のためかチラシ効果はあまりなく参加数は少なかったが、妊娠の経緯や家族状況など個別性の高い生活背景があるため、少人数でじっくり話せる雰囲気で安心感を得られた。③は離婚によりあえて知り合いのいない東京へ引っ越して、友達つくりを求めての参加理由であった。

活動日数 13日

支援対象者実人数 35人

支援対象者延べ人数 39人

参加ボランティア実人数 3人

参加ボランティア延べ人数 31人

本助成金による活動の成果
妊婦体験も兼用できる胎児モデルセットは、視覚教材になり非言語コミュニケーションとして理解しやすいことで、通訳士からも説明の補足として大いに役立つと好評を得た。また会の開催の出産準備教室での活用、区で開催の地域イベントに参加した際に赤ちゃん抱っこ体験や沐浴体験でも活用した。今後は会独自の小・中学生「いのちの教育(性教育)」にも活かしていきたい。外国にルーツを持つ人々の出身国はさまざまであったが、どの参加者も日本の文化に大変興味を寄せており、そのうちの「食」の文化が最もなじみやすく、共に食卓を囲むことで交流が深まった。若年妊産婦、ひとり親への参加呼びかけには行政機関に赴き、各相談窓口にチラシの設置を依頼し、昨今の母子を取り巻く課題や展望を共有する機会を得た。保健師からの紹介等で10代、ひとり親の参加があり、Z世代と言われる母親のSNSを育児に駆使する様子を見聞きし、現実を私たちが学ぶことも大変多かった。実際にSNSで発信する際の今どきの言葉の使い方や、短文で瞬時に伝わる文面の作り方など大変参考になり、ホームページの投稿記事作成に参考にさせてもらっている。その一方でリアルな対人交流を求める声も強く、それまでに参加した人たちに呼びかけ同窓会と称し集まり交流を深めた。以上の活動が認められ、2024年度、行政からひとり親世帯向けの定期セミナーの講師委託を受けることになり、地域の母子支援活動に弾みをつけることができると期待している。また、会場の提供と食事作りのボランティアを引き受けてくれたNPO法人とは次年度も形を変えて共同でプログラムを実施することになり、さらに連携を強めて地域の子育て支援を民間の力でも協働していけると確信している。参加人数は計画よりも少ない結果だがこのように官民の協力や連携を得ることができた。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
子育てに困ったらここ!プロジェクト「ここプロ」ここに来れば助産師に会えます話せます、と呼びかけて、生活に困難がある子どもやその家族への支援活動を全面的に掲げ、本助成で「若年妊婦・若年ママ・パパ、シングルママ・パパ、外国にルーツを持つ家族の方」と分けての活動を展開した。プライバシーにかかわることで、オープンに募集が難しいこと、我々の活動を行政を通しての周知に重きを置いていたため、周知に時間を要することが課題になった。個々人困難感はそれぞれで、お互い知り合いたいということ、困っていること・分かち合いたいことに境界線を持たなくてもいいことに気づいた。日本人のパパと知り合えるかもと期待をして参加した外国人パパの例にあるように、外国人、ひとり親、若年妊産婦と明確に分ける必要はなく、ゆるくつながる関係の中から自ずと次の課題が見えてくる流れがあり、その流れに沿って共に考え共に気づき合うことで子育ての孤立からその人をすくいあげることになるのではないかと気づけた。一方、シングルのママたちは同じ境遇を持つママ同士の広がりを求めていることも感じたが、今の時代まさにワンオペレーションで育児を担っている人は、家族を持ちながらもひとり親と同じ状況にあるとも言える。実際、家族(パートナー)がいる分期待をして、それがかなわずさらに孤独感が増してしまい悩むこともあるのではないかと気づかされた。平日には休みを取りにくいひとり親、休日の日こそ取り残され感が強まるワンオペ育児の人たちの参加を願って日曜日開催としてきたが、今後も同様に開催していく。対象者の年齢には言及せず皆が集えて、お互いがエンパワーメントできるように寄り添いたいと考える。また、参加者同士が自然発生的に自主的なグループへと成長し、地域活動へと発展するように支援したいとも考える。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://edogawamidwives.studio.site/



寄付してくれた人へのメッセージ
私たちは助産師です。赤ちゃんの誕生、小中学生のいのちの教育(性教育)、青年期~更年期、老年期まで女性の一生に寄り添う活動をしています。この度は、貴団体の助成金を基に子育てに困難を抱える方々を対象に支援活動を展開致しました。主にワンオペレーションで育児をされている方、外国にルーツをもつ方々の子育て事情に沿った寄り添い型の活動です。その中で特に好評だったのは、軽食の提供です。手作りおにぎりと味噌汁のシンプルなものでしたが、具材の工夫でバリエーションも広がり、外国にルーツを持つ方々にも大好評でした。一緒に参加した子どもたちも配膳のお手伝いをしたり笑顔いっぱいで、貴団体の「食卓を笑顔に、地域を豊かに」の方針に私たちも幾ばくかの貢献ができたのではないかと思っております。子育てをめぐる状況は社会を反映しています。今後もコープみらいのみなさまと共に広い視野を持って活動を展開したいと思います。