都道府県 東京都
助成額 2,515,294円
活動開始日 2020/4/1
活動終了日 2021/3/31
助成金で行った活動の概要
新型コロナウィルス感染拡大を受けて、小中高校での全国一斉休校が実施され、最長3か月に及んだ。長期休暇明けに、不登校や自死が増加する傾向が危惧されるとともに、異例の事態に、学習の遅れや心身への影響も懸念された。そこで、小学校高学年から高校生世代に焦点をあてて、オンラインを活用した個別相談や学習支援を行い、居場所への誘導を計画し、居場所では、精神的な平穏を確保し、それぞれの状態に応じた成長が遂げらるように、またアフターコロナに対応した力がつくように活動を行った。
事業を行うなかで、参加者募集の呼びかけをした渋谷区内の公立中学校から、該当する生徒が複数いるが、感染リスク防止の観点から、学校内での学習活動への依頼があった。昨年9月時点で、情報提供数やオンラインを中心とした活動を希望する対象者が少ないため、提案を受け入れ、既に実施している活動は継続しながら、活動を変更し、学校内で、放課後に学習を中心とする居場所を行った。
対象は、入学時から休校状態で、ようやく通常授業にもどって日が浅い中学1年生で、各クラス担任が気になっている生徒の背中を押して、保護者の了解をえた生徒となった。
教科書や宿題を持ち寄り、勉強を行うが、手につかない生徒も多く、利害関係が生じない年の近い大学生や、地域の大人が 生徒から湧き出す話に耳を傾け、受け止めた。学校にも、家庭にも自分の居場所が見い出せない生徒に、安心して、自分を解放できる場を提供した。
活動日数 54日
支援対象者実人数 16人
支援対象者延べ人数 294人
参加ボランティア実人数 20人
参加ボランティア延べ人数 118人
本助成金による活動の成果
・オンラインで世界とつながることも可能になり、新たな学習機会を提供し、新たな刺激となった。
・公立中学校校内で、居場所活動を実施することができた。
・多忙を極める教員、不安を抱える保護者にも大変好評で、学校では「ピアアサポート学習」で定着した。
・参加した生徒が、自分のありのままを表出し、受け止める他者がいることで、学習への取り組み方に変化があった。
・毎週顔を合わせるなかで、他クラスの友だちができ、クラスや部活動とは違う関係が生まれ、学校生活に新たに来校する意義を加えた。
・先生方とのつながりも生まれ、不登校や登校しぶりの状態にある生徒の情報も得やすくなった。
・渋谷区の基本構想にある「違いをちからにかえる街 渋谷区」を意識しながら、ロシア語やハングル語に興味関心がある生徒とともに、さらに広い共通言語として、手話を取り入れ、学びの世界を広げた。学校の関心も高まった。
・不登校やひきこもり状態になると3年以上の歳月を経て、相談機関等に連絡があり、支援を始めていくが、学校に入る事で、早期発見・予防や防止の取り組みになった。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
・家庭でのネット環境や家族の在宅状況などで、オンラインを結ぶ制約がある。WI-FIルーターなどの貸出などの必要を感じた。・行政機関(教育センターなど)や民間支援機関を通じて参加者募集を行ったが、結果的には対象者把握は困難を極めた。しかしながら、学校に入り、先生(担任)を通じて、紹介された生徒は、本事業が求める対象者だった。孤立や孤独は見えない、学校との連携が課題である。・先生からは、大人しい生徒と聞いていたが、学習に縛らず、本人の主体性を大事にするなかで、それぞれが思い思いに、自分を解放し、賑やかな場となった。学校だけではなく、家庭のなかでも、自分を解放できていない苦しさがあるように感じた。ストレスを発散できる力や場が課題である。・生徒に寄り添える存在、先生でも、親でもなく、利害関係を生じない第3者とのかかわり。年齢が近く、身近な憧れの存在になりやすい大学生や地域の大人が2(生徒)対1ぐらいの割合でかかわれると自己肯定感を高めるのに有効。放課後の時間帯に集える人材の確保が課題である。・事業実施時は、授業スピードが早く、宿題も多く、学習への意欲や定着は一部の生徒に留まったと思われる。居場所では、教科の枠組みに囚われない、興味や関心などのなかから意欲を高める学習機会を提供することも課題である。上記の課題について、継続して校内居場所を実施し、行政や地域の住民や団体等に活動の有効性を認知してもらい、垂直展開(他学年への広がり)、水平展開(他校へのひろがり)を行っていく。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://peersupport.jp/archives/9372