都道府県 東京都
助成額 1,269,000円
活動開始日 2020/4/1
活動終了日 2021/3/31
助成金で行った活動の概要
本活動の目指すところは、イスラム教徒を中心とする在日外国人に対して①必要とされている情報提供を行い、必要に応じて既存の各種窓口と繋ぐこと、②オンラインや電話での相談窓口を設けることで駆け込み寺としての役割を担うこと、の二つを通じて、新型コロナウイルス感染症の影響下、イスラム教徒を中心とする在日外国人が社会的に孤立せずに必要な情報にアクセスして能動的に動ける状況をつくることです。
以上の目標を踏まえた具体的な取り組みとして、在日イスラム教徒の6割を占めるインドネシア・バングラデシュ・パキスタンのそれぞれの母語で情報提供を行うポータルサイトを運営し、また、オンラインと電話で24時間相談を受け付ける対応をしています。ポータルサイトには、「感染予防の実践方法・新型コロナウイルス感染症に関するヘルプライン・ビザに関する情報・就労支援情報・金銭支援情報・教育機関の対応・食糧支援の案内、留学生向け情報」のページを設けています。これらの活動を周知するため、ポータルサイト以外にも、助けを必要とする方々が利用すると思われる場所(モスクや飲食店など)にメンバーが直接赴きチラシ配布・設置をしています。相談対応においては、個別での対応が必要と判断された場合にやり取りを仲介する例も多々あります。
活動日数 365日
支援対象者実人数 2,387人
支援対象者延べ人数 2,498人
参加ボランティア実人数 6人
参加ボランティア延べ人数 192人
本助成金による活動の成果
【①必要とされている情報提供を行い、必要に応じて既存の各種窓口と繋ぐこと】について
イスラム教徒を中心とする在日外国人をターゲットに、コロナ禍で様々な生活上の課題に対して、必要な情報を提供するポータルサイトを作成しました。まず、「感染予防の実践方法・新型コロナウイルス感染症に関するヘルプライン・ビザに関する情報・就労支援情報・金銭支援情報・教育機関の対応・食糧支援の案内、留学生向け情報」の8項目において、在日イスラム教徒・在日外国人に必要な情報を包括的に収集・整理を行いました。その後、整理した情報をウルドゥー語・ベンガル語・インドネシア語に翻訳し、項目ごとに掲載しました。これにより、在日イスラム教徒の方々が、必要な情報にアクセスして能動的に動ける状況を作ることに寄与したと考えています。
当法人のHP・活動のアウトリーチ活動として、東京都・埼玉県・神奈川県・愛知県にある25のモスクに訪問し、それらのモスクやハラールフード店等を含めた76ヶ所に約1200枚のチラシを配布しました。その際、モスク・店舗利用者や近所の方へのヒアリングも行いました。また、留学生として在留している在日イスラム教徒をターゲットに、留学生の多い大学に在籍する当法人のインターン生を通じて、16大学において広報活動を行いました。加えて、オンラインでのアウトリーチとしては、啓発と広報を目的としたオンラインイベントの開催とFacebook広告の利用をしました。オンラインイベントでは、これまで計4回52名の参加者を集め、実際の相談者の具体例を交えて在日イスラム教徒の窮状を伝えました。また、Facebook広告の結果としては、284,167件のビュー数、HPとしてのアクセス数は2355件となりました。
【②オンラインや電話での相談窓口を設けることで駆け込み寺としての役割を担うこと】について
アウトリーチ活動の結果、合計32名からEメールやホットラインの電話に相談が寄せられました。具体的な対応としては、緊急小口支援・総合支援資金・雇用調整助成金をはじめとする公的な支援や、フードバンク等の市民活動団体に相談者を繋げました。加えて、求職中の相談者には地域のハローワークに繋げたり、職の紹介等をを行いました。これらの支援において相談者の日本語が不自由な場合、各種窓口への同行や提出書類作成の補助を行いました。さらに、ビザ関係の相談への対応や、持病を抱える方には病院への付き添いをしたケースもありました。
相談対応の結果、相談者が申請することのできた公的な給付金・ローンの件数は32件、そのうち審査の結果既に受給確定を確認できた件数は6件でした。フードバンク紹介件数は3件、利用に繋がったことが確認できた件数は延べ3件、職の紹介を行った人数は8人でした。そのほかにもビザ関係の相談対応数は2件、無料低額診療の紹介および病院の付き添いを行ったのは1人です。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
アウトリーチの段階では、相談件数が次第に伸び悩んだことが挙げられます。これに対してはFacebook広告を打ち出す、チラシ配布を進めるなどの対応をしました。 相談対応においては、多言語通訳のアクセスが困難なこと、距離的な問題や感染症の制約上対面での対応ができない場合に聞き取りや支援の申請が困難なこと、ビザのステータスが脆弱かつ困窮具合が深刻なケースの場合(難民ビザ申請中など)に公的支援利用ができないこと等が課題となりました。多言語通訳については、相談者自身の個人的なネットワークを活用したり、多言語人材のリクルートを強化しています。対面での対応については、電話・メール以外のSNSなどのコミュニケーションツールの活用などで対応しています。相談者がとりわけ深刻な事情を抱え脆弱な立場にあるケースでは、既存の支援への橋渡しだけではなく、フードバンクなどの直接的・即時的な支援を行っている他団体との連携を進めています。 相談対応後のフォローアップの段階では、終盤以降連絡がつかなくなるなど、相談者の状況のトラッキングが困難なことが課題となっています。これについては普段から過不足のないコミュニケーションをとるようにしていますが、依然としてそのようなケースはなくなっていません。全体的な振り返りとしては、実際に活動を展開する中で、在日イスラム教徒コミュニティへのアクセスや信頼関係構築の難しさが活動の肝ではないかと感じています。1年間をかけて、やっと活動の基盤と地道な信頼関係を築くことができました。コロナ禍は未だ終わりが見えず、生活を維持する経済的・精神的体力が枯渇するケースも見え始めています。一人でも多くの取り残されている人々に手を差し伸べる為にも、今後も自主財源を使いつつ助成金なども適宜確保していき引き続き活動を続けていきます。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://accept-int.org/news/赤い羽根共同募金からの助成決定のお知らせ/2020-08-15/
https://www.facebook.com/accept.international.org/posts/1186771641758388