都道府県 福岡県
助成額 819,000円
活動開始日 2021/1/20
活動終了日 2021/12/28
助成金で行った活動の概要
コロナ禍において、産前産後の手助けを必要とするはずの時期を孤立した環境で過ごしている母子が子育てや自分自身のことを語り合いながら交流したり、子育ての安全で必要な情報を受け取ることができる産前産後に特化したサロン事業を行う。相談対応専門スタッフ2名、見守りスタッフ2名を配置。布団などの準備をして母親が横になったり赤ちゃんを寝せておくコーナー、おもちゃを置いてきょうだい児が遊ぶコーナー、個別に相談できるコーナーを設える。また産前産後に役立つ情報として書籍や掲示物(ポスター等)を置き、参加者がいつでも手に取れるようにする。 ①「ママほっとサロン」として、産前の母親、産後おおむね12か月の母親と赤ちゃん、及びその兄弟児を対象に、いつ来てもいつ帰ってもいい自由な場を提供した。おしゃべりしたり、遊んだり、時には横になって休んだりできるサロンで、特に兄弟児がいるところは見守りスタッフが対応し、母親と赤ちゃんがゆっくりできる時間を確保した。参加者のニーズによっては助産師、保育士等の専門職による個別相談も実施し、必要に応じて時間内に全体へのミニ講座(赤ちゃんのケア、離乳食、生活リズムなど)も行なった。 ②経済的に困り感があり食糧支援が必要と申告された人、及び参加中に経済的な困窮が見られた人には食品や紙おむつの提供を行った。当団体の他事業で把握している支援を必要とする人や参加者への呼びかけによって把握した対象者にお米、味噌、醤油を渡すことができた。紙おむつ等の希望もあり、その優先度は高かったためそれらも含めた提供とした。 ③感染拡大時には会場の使用ができなかったため、Zoomによるオンラインのサロンを行い、繋がりを途切れさせることのないよう配慮した。オンラインでのサロンに馴染みがないためか、また周知も徹底していなかったため、第1回目は参加がなく次の週に延期した。その後のオンラインには3~5組が参加され、今の困りごとを聞きあったりしながら交流する時間となった。助産師からのアドバイス等が役に立った、直接専門家に聞けて安心したという感想が聞かれている。 ④関わるスタッフ及び、産前産後に関わる人たちのために助産師や作業療法士を迎え、研修会を行った。コロナ禍の中、産前産後を迎えている母の困り感、不安感や赤ちゃんの成長発達への影響等について学び、現場での配慮について考えることができた。
活動日数 12
支援対象者実人数 25
支援対象者延べ人数 120
参加ボランティア実人数 2
参加ボランティア延べ人数 16
本助成金による活動の成果
コロナ禍の中どこにも行けず、家庭に子どもと共に閉じこもっている母親の疲弊感は強く、実家にも帰れないまま産院に入院中も面会は限られ孤独だったと涙ながらに語る母親もいた。第1子の初めての子育てにもかかわらず、ほとんど手伝いなしで頑張ってきたという母も頼るのはネットの世界と言われその情報に振り回されている。 このような状況下、ママほっとサロンでは母親同士がこれまでの体験や今気になることなど話す中でその緊張が徐々にほどけて行っているのがわかる。本来、子育ては見よう見まねで始まり積み重ねられるものであるが、コロナ禍での孤立によりその機会を失い孤軍奮闘していたであろう母親たちが情報交換をしつつ学びあっている姿があった。パーテーションで仕切り安心して休んだり相談したりできるコーナーを設置したが、どの参加者も他の母子とのかかわりを楽しんでいて「休んでいるよりおしゃべりしたい」と言われる。コロナ禍での人との関りの希薄さを何とか埋め合わせたいという気持ちを感じる。このように交流しながら人と人がつながることで安心して子育てが行われるべきところをコロナ禍での孤立した子育てを強いられている母親にとっては大きな意味ある場となっていた。赤ちゃんたちにとっても、母親父親からしか話しかけられていない中、スタッフや他の母親たちから笑顔で話しかけられる体験は貴重だったと考える。兄弟児にとっても母親の安心感が伝わるのか、子ども同士が穏やかに楽し気に遊んでいる姿が印象的だった。相談内容は体のケア、離乳食、生活リズム等この時期にありがちな事柄が多かったが、些細なことをちょっと尋ねる人がいないという声が聞かれた。 産前産後に関わる人たちへの研修もコロナ禍での子育ての難しさなど課題を明らかにし、どのような支援が必要とされているかを丁寧に考えることができたと考える。 生活困窮家庭への支援も他事業との連携等より必要とする家庭に提供することができ喜んでもらえた。 コロナ禍以前から孤立した子育てには大きな課題があるが、感染拡大によりその課題に拍車がかかる今、産前産後に特化した場での支援は極めて重要であり、この事業により母子が穏やかに過ごせたことは大きな成果だと考える。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
コロナ禍の中、新規である産前産後の母子に特化したサロンの情報を届ける手立てが少なかったため、特に第1子産前の母の参加が少なかった。行政の産前の事業も対面ではストップし、産科医院にチラシを置かせてもらったが手に取る人も少なく、この時期の必要な人に情報を届けることの難しさを感じた。だからこそ、日常を取り戻せたときにつながっておくことが非常事態下での生活に大きな意味があると改めて感じた。その中でも日ごろの活動では公式ラインを利用しており、その効果は大きく、行政にもSNS利用について提案していきたい。 緊急事態宣言下でサロン実施ができなかった月はオンラインサロンとしたが、オンライン利用がスムーズだと思っていた母親世代がうまく利用できず、参加前に接続のための手助けが必要だったり、オンラインをあきらめるケースがあった。この場合も日頃からオンラインによる子育て支援を実施しておくことが必要だと考える。 産前産後の支援の場は緊急事態に即対応できるためにも日常から備えておく必要があると考え、行政との連携、協働は必須であり、今後の行政の子育て支援策の一つとして考えてもらえるようこの事業の成果と課題を報告することとする。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
http://hugcco.org/
https://www.instagram.com/hug_staff/
寄付してくれた人へのメッセージ
コロナ禍の中、孤立した子育てを強いられる母子への支援活動に助成いただきありがとうございました。子育てが孤立し、子どもの育ちに課題が積み上げられていく社会において、このコロナ感染拡大はその課題に拍車をかけました。祖父母世代、隣近所に頼ることもできず孤軍奮闘する子育て家庭への応援が今なければ、今後の子どもの育ちにも影響があると考えこの事業を企画しましたが、実施に至ることができ、多くの母親と赤ちゃんたち、その家庭が安心して過ごすことができたことに心から感謝申し上げます。みなさまの温かいご支援を子育て中の母親、そしてこれからの子どもたちに届けられたことを嬉しく思います。これからもお互いの温かい心が繋がりあう社会を目指して活動をしていきたいと思います。