都道府県 神奈川県
助成額 2,846,300円
活動開始日 2021/4/1
活動終了日 2022/3/31
助成金で行った活動の概要
*親を頼れない女子学生のための 養護施設等を退所し大学等に通う女子学生を対象とし、住まい提供、ゆるやかな見守り、ボランティアによる食事作り等の生活支援を行う下宿事業を通年実施。困りごとを早めに相談できるようにするための関係性強化、退所者のホームカミングなど退所後も繋がり続けるための働きかけを行う。コーディネーターが月一回実施しているミーティングに参加し、状況把握、対応を行った。自立への不安の軽減に効果的であった「お試し宿泊」を通年実施できるよう専用居室を用意し対応する「一人暮らしお試し宿泊」事業を開始し。養護施設アフターケア連絡会にて広報、コーディネーターが養護施設との調整を行い有効に機能させる。利用は1件のみであった。*短期居住支援事業 コーディネーターを配置し、居住支援が求められている支援団体に情報提供と関係づくりを行う。また、見学、依頼に対応し、必要性を認めた場合は入居までの諸準備、調整を行った。また、必要に応じて他の社会資源につないだ。この事業に関心を寄せている、養護施設、アフターケア機関等の支援機関を訪問して意見交換、情報交換を行った。上記の事業が有効に連携し効果の高い取り組みとするためにコーディネーターを配置した。関連団体と事業に関する意見交換を行いながら居住支援の周囲にある問題・課題を整理して次の活動につなぐための報告書を作成した。
活動日数 365
支援対象者実人数 28
支援対象者延べ人数 101
参加ボランティア実人数 5
参加ボランティア延べ人数 50
本助成金による活動の成果
①親を頼れない女子学生のための下宿事業 通年通して、週に2回4名のボランティアが夕食作りを行った。当初は夕食作りだけの関係であったが、進路の相談や卒業後の不安等を語りながら一緒に調理する形態がとれるようになり、関係性を深めることができた。コロナ禍で外出が制限される学生生活の悩みや愚痴の聞き役となることができた。毎月1回入居者とボランティア、コーディネーターが参加してミーティングを行った。②短期居住支援事業 年間16件の申し込みがあり、そのうち対応できたのは7件 平均入居期間は4.4か月であった。生活保護受給者4名のうち居住してから生活保護制度につないだ数は2件だった。退去後アパートで自立生活を始めた方3名、自立援助ホーム入居した方1名であった。コーディネーターは生活保護受給までの支援と保護課へのつなぎ、アパート探しの手伝い、生活用品の寄付品集め等を行った。20歳前後の方が多かったので、不動産・役所等の手続き等に知識・経験がなく、コーディネーターの支援は有効であった。生活費の不足 規定した利用料が払える状態にない方も多く、生活保護受給までの間、あるいは訳があって受給を拒否している人に対して全額~1/3までの家賃減免を行った。これによりアパート契約に必要な資金をためることができた方がほとんどであった。逆に言えば、どこかで金銭的な支援がないと自立に向かうことが困難であるということだと思われる。③新たなチャレンジ 社会的養護アフターケア団体との意見交換から見えた課題対応として ア)JIKKA便社会的養護退所者を中心につながりが希薄な若者に、出身施設やアフターケア担当者からのレターを添えて食品や生活雑貨を毎月送付する。これは、法人が実施しているフードバンク食品やそこに寄せられる寄附品を中心に送付した。今ある関係性を切らないことを目的として実施した イ)ひとり暮らし体験「いちご」これから社会に出ようとする、頼る所の少ない若者が1週間程度暮らしてみる「おためし一人暮らし」の場の提供 上記2点は、社会的養護退所者支援を行っている団体との意見交換の中で、支援団体としては必要性が高いと思っているが人的にも資金的にも実施ができていないアイデアに法人が持っている機能や寄附を活かして協働作業として実施したものである。このような新しいアクションを生み出せたのは配置したコーディネーターの企画力と関係性の強化があったからだと思われる。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
居住を喪失している人、喪失しかかっている人がかなりの数身近にも存在することがわかった。これまで見えにくかった女性の存在がかなりをはっきりと捉えることができた。しかし、女性が安心して滞在できる緊急の居住場所は残念ながら多くない。外に大きく広報されていない法人の居住支援に関しての問い合わせが絶えることがなかったし、部屋が空いている期間もほとんどないという状況であった。特に、年度変わりの3月には入居を予定していた、グループホームや自立援助ホームに空きがでず制度の狭間で居場所を失いかけている方の入居先としての問い合わせが続いた。18歳という年齢の壁を超えるための一歩踏み込んだ社会資源の必要性を感じた。法人ではこれに対応するためにサブリースで2部屋を増やして対応した。この間入居された方々はただ住む場所がないというだけでなく、いくつかの複合した困難を抱えており、生活に寄り添いながら必要な社会資源につないだり、困りごと聞き取ったりという関わりが有効であった。この間のやりとりは、この先困った事態に陥った時の相談場所として認識されるために役立っているだろうと思えた。そのような予防的な面からも今回のコーディネーター配置は有効であった。入居前の支援団体とコミュニケーションをしっかりとれたことは、3者で今後の新しい生活のスタート準備を行うことに繋がり、利用者を中心にした支援の輪を拡がることができた。同時に孤立しがちな社会的養護退所者の姿を知ることになり、JIKKA便という新しいツールをアフターケア団体や同一地域の養護施設と役割分担しながら開始した。年度後半、つかんだ課題を ①女性の居住支援の絶対的な不足 ②住居を提供するだけでなく、生活全般に寄り添った日常の関わりが必要。③ひとり親家庭には保育提供が自立への大きなカギとなっている。④就労へのゆるやかな支援 ⑤地域への参加の機会が必要 の5点に整理して、その必要性と活動拡大を生協団体に呼びかけ、使われていない職員寮を活用としたシェアハウスの開設に向けてプロジェクトが形成され、実現に向かって動き出すことができた。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.sakuranbo.or.jp/news-entry.php?p=431
https://www.facebook.com/sakuranboseya/
寄付してくれた人へのメッセージ
まだまだ必要性があっても足りない女性への居住支援を1年間コーディネーターを配置して実施できました。これにより新たな取り組みも始まりすこしずつ広がっています。皆様がたのご寄付にこころより感謝したします。ありがとうございました。