団体名 特定非営利活動法人仙台夜まわりグループ

都道府県 宮城県

助成額 2,640,000円

活動開始日 2022/1/1

活動終了日 2022/12/31

助成金で行った活動の概要
宮城県仙台市では、コロナ禍が始まった2020年以降、その直接的・間接的な社会的影響により仕事を失ったという方からの相談が後を絶たない状況が続いています。そうした方々は、コロナ禍がなければ仕事と住居を失うことはなかったという意味において、予期せず住まいと仕事を失います。そうした困窮者からの相談は、今日食べることができない、どこに相談に行けばよいかわからないと切実です。このように不安の中で生きる場を失っている方々がSOSを発信した際に、緊急で相談に応じることができる社会的資源が必要であるにもかかわらず、不足しています。また、居所を失っている場合、再び居所を設定したとしても、必要最低限の生活用品、生活家電、布団などを本人は一切持ち合わせておらず、新たな生活をスタートさせることも困難となります。さらに、社会生活を軌道に乗せるまでには、解決しなければならない課題、例えば、債務、病気・けが、社会福祉制度の利用等があり、一人で解決することは困難な場合があります。こうした背景と現状があり、第1回、第2回の助成事業を継続して実施し、本事業を通して宮城県仙台市において以下の6つの柱の活動を行いました。(1)緊急出張対面相談(2)当法人の支援活動時の相談支援・生活必需品提供支援(3)緊急出張時の生活必需品等の支援(4)居場所を失った方の居場所提供支援における什器備品・布団一式の提供支援(5)アフターフォロー支援(6)コロナ禍のホームレスの分析を重層的に実施しました。事業は365日いつでも出張相談できる体制を1日2名で行いました。具体的には、居場所を失った方からのSOSの相談があった場合、緊急性に応じて相談者のところまで出向いて相談に応じ、専門的な知識を活かしてその人が最も必要とする情報と物資をその場で提供しました。(1)(3)(2)さらに、居所がない方には居所を支援し、居所を確保したのちに、即時に社会生活を安心して送れるように必要最低限の生活必需品を無償提供しました。(4)(2)(1)さらに、アフターフォローを継続することで、安心して社会生活を送ることができる基盤を整え、居場所を失った者の生きる活力を取り戻すことを目標とする支援を行いました(5)さらに以上のような現状を分析しました(6)本事業を通して以上の活動を行うことができました。

活動日数 365

支援対象者実人数 139

支援対象者延べ人数 1500

本助成金による活動の成果
2022年1月1日から同年12月31日までの一年間、宮城県仙台市において、ホームレスおよび生活困窮者、実数139名、のべ1,500人に支援を実施しました。具体的には以下の事業を行いました。(1)緊急出張対面相談:当法人の支援活動の1か月分の支援カレンダーのチラシ(HP記載)に緊急用携帯番号を記載し、いつでもSOSの電話を受けられる体制を整えました。新たに路上生活となった当事者の相談にアウトリーチで応じ、その場で必要な情報提供および支援機関へ繋ぎました。また、居所を失っている当事者に対しては必要に応じて居宅支援を実施しました。緊急連絡用携帯にSOSがあった、12人の路上生活者・生活困窮者のアウトリーチ相談を実施しました。その中で、緊急的に居所支援が必要であった3名が当法人の居宅支援に結びつきました。(2)当法人の支援活動時の相談・生活必需品提供支援:当法人のホームレス支援活動(月曜日:衛生改善事業、水曜日:夜まわり・深夜夜まわり、木曜日:大人食堂、土曜日:自立支援セミナー、有償清掃ボランティア作業、炊き出し)の場において相談業務および必要に応じて支援物資を提供しました。1年間を通して、139名(1年間のべ1,500人)の相談支援を実施しました。うち10名が居宅支援に結びつきました。(3)緊急出張時の生活必需品等の支援: (1)の緊急出動時に生活必需品や食料を支援しました。(なお、食料に関しては、本事業の事業費外から支出しています。)(4)居所を失った方の居住支援における什器備品・布団一式の提供支援:13名の居宅支援を行い、助成金を活用して必要に応じて什器備品(冷蔵庫、洗濯機、生活用品・日用品一式等)および布団一式、生活必需品3項目39品目を無償提供しました。(5)アフターフォロー支援:(4)の13名を中心に、またこれまでの助成事業の対象者にも、アフターフォローを実施しました。毎日居所を訪問して悩み事や課題の洗い出し、同時に、課題解決のためのアドバイスをしました。さらに、必要に応じて各種関係機関への同行支援等を実施しました。具体的には、福祉事務所同行支援13件、病院同行10件、弁護士・司法書士事務所同行3件、車処分支援1件、老人ホーム入所手続き支援1件、不動産同行(緊急連絡先支援含む)10件、特別給付金受給手続き支援15件等の支援を行いました。(6)コロナ禍のホームレスの分析:現在、分析を通して報告書を作成しています。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
事業を通して路上生活者の聞き取りを行いました。具体的な事例を通して今後の課題が見えてきました。【事例1】1995年山形県に出生。地元の高校を卒業した後、仙台市内の専門学校に進学。専門学校卒業後、地元に戻り、携帯電話の代理店の正社員として就職した。仕事がきつく、1年後に睡眠障害となり、退職を選択。その後は、派遣の仕事を転々としてきたが、2020年、コロナの影響により会社が人員整理を行ったため、残業と休日出勤が続くようになり、睡眠障害が再発。2020年の冬に離職。離職後は両親と暮らしてきたが、就労のことで両親との関係が悪化。親元を離れて、宮城県内での住み込みの仕事を見つけて、働くことにした。1年間ほど働いたが、コロナの影響によりその会社の経営が悪化し2022年8月に解雇を宣告された。その後、仙台市内で路上生活となった。【事例2】1997年宮城県北部出身。両親からネグレクトされ、祖母に育てられた。高校卒業後、宮城県内の自動車製造工場に契約社員として従事。2019年、仕事の都合上、愛知県の自動車工場に勤めることになった。2022年、職場内の人間関係で揉めたために離職。宮城県まで戻ってきて、ネットカフェで寝泊まりしながら仕事を探したが、コロナの影響があり、仕事が見つからず、車上生活となった。以上のように、コロナの影響によって生活困窮となっているのですが、生活困窮の根底にあるのは、家族関係の喪失です。「家族的な人間関係」から排除されていることによって「ホーム」を喪失しているという根本問題があります。さらに、地域社会が抱える深刻な問題が追い討ちをかけます。いわゆる「地方」に生まれると、地元に安定した仕事が不足していることから、地元にある大企業の下請け末端労働に従事するしかなくなる者がいます。そこでの人間関係や、仕事内容に馴染めない場合、仕事を求めて、非正規雇用者として工場等を渡り歩くことになるわけです。その際、家族関係から排除されているので、住まいと仕事を同時に得られることが就職の際の条件となります。まさに、この条件によって、仕事を失うと同時に住まいを失うことになるのです。以上のように、生活困窮の根底に存する「ホーム」の喪失が見えてきました。NPOの課題は、「ホーム」を喪失した方々に対して「ホーム」となる関係を構築し、関わり合う支援を創出することです。現在、新たな試みとして「サロン」を月2回行っています。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
http://www.yomawari.net/date/2022/07/
http://www.yomawari.net/info/67194/



寄付してくれた人へのメッセージ
私たちの活動に対するあたたかいご支援およびご寄付感謝申し上げます。現在、ホームレスの方々は、日本の社会福祉が届かない過酷な状況下にあります。私たちの活動は、小さな活動ですけれども、みなさまからのあたたかいご寄付が、私たちの活動を通じて、一人でも多くのホームレスの方々の自律のお手伝いができるよう、努力しております。これからも、私たちの活動が、ホームレスや生活困窮者の方々の「ホーム」となれるよう活動を継続してまいります。みなさまからのご支援、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。