都道府県 兵庫県
助成額 2,734,826円
活動開始日 2022/1/1
活動終了日 2022/12/31
助成金で行った活動の概要
長引くコロナ禍においては、特に技能実習生や留学生、特定活動の在留資格の者など特に弱い立場にある外国人の方々は、雇用の調整弁に使われるなどして、コロナ禍における大きな影響を受けている。本事業では、神戸市を中心とした兵庫県内に住む生活に困窮する外国人を対象に、他機関連携による支援を実施した。NGO神戸外国人救援ネットが窓口として相談を受け、PHD協会は当会シェアハウスで生活する生活困窮外国人を中心に居住支援・生活支援・食料支援など包括的な支援を実施し、また必要に応じて日本語の学習支援を行った。1)相談対応(NGO神戸外国人救援ネット)月曜10時~18時、水曜10時~18時、金曜10時~17時の時間帯に、専用ダイヤルと対面、オンライン面談、Eメール、SNSなどを用いて相談対応を行い、その時間外に必要になった同行支援や緊急対応を行った。必要に応じて情報提供、問題解決のサポート、情報提供、他支援団体への紹介等を行った。2)居住支援・生活支援(PHD協会)PHD協会が運営するシェアハウスにて、住居確保の困難な外国人の方に居室(4部屋、定員9名)を提供した。入居者には居室提供だけでなく、フードバンクや連携企業、当会のサポーターから受け取った食料や生活物資の提供を行った。加えて、当会のバイリンガルスタッフ(ベトナムルーツ、ミャンマールーツ)を含んだ職員が、在留資格や就労、役所手続き、病気・病院などに関する情報提供や同行支援を行った。さらに、ウクライナ避難民をはじめとしたシェアハウス外で生活する困窮する外国人も居住先にアウトリーチして、ニーズに応じた食料・生活物資の支援、生活支援や就労支援を行った。3)日本語学習支援(PHD協会)PHD協会の事務所・シェアハウス、もしくはオンラインにて1クラス2時間を基本とした日本語教室を開催し、日本語教師がマンツーマンまたは少人数で日本語学習を支援した。学習者のニーズに合わせて開催時期や内容などを調整した。4)広報活動支援事業に関する多言語チラシと事業紹介動画(第2回居場所を失った人への緊急活動応援助成で製作)のコンテンツを活用し、当団体のFacebookページやバイリンガルスタッフによる第一言語コミュニティへの発信を通して、支援を必要とする外国人に向けて情報提供を行った。なお本事業にて、ミャンマー語字幕付きの紹介動画を作成した。
活動日数 246
支援対象者実人数 182
支援対象者延べ人数 793
参加ボランティア実人数 16
参加ボランティア延べ人数 130
本助成金による活動の成果
1)相談対応(NGO神戸外国人救援ネット)59名(27カ国)に対して278件の相談対応を実施した。住居や在留資格、社会保障、教育、家族関係/DVに関する相談を中心に、情報提供、書類準備サポート、法的支援、同行支援など問題解決に向けたサポートを実施し、必要な場合は他支援団体への紹介等を行った。言語としては、日本語、英語、タガログ語、ビサヤ語、ベトナム語、ポルトガル語、スペイン語、フランス語、アラビア語、ネパール語、中国語にて対応を行った。2)居住支援・生活支援(PHD協会)当会が運営するシェアハウスで、2021年から継続滞在した人も含めて11名(4カ国)に居室を提供した(うち8名は2022年の新規)。2022年度はより困窮度の高い人たちをターゲットにして、人道配慮による在留特別許可や緊急避難措置として特定活動の在留資格を受けた方や、劣悪な就労環境から逃亡してきた技能実習生の方、難民認定を受けたばかりの方などを受け入れた。シェアハウス以外でも神戸市を中心に生活する困窮外国人104名(11カ国、うち57名がウクライナからの避難民)にアウトリーチして支援を行った。延べ324名に連携団体や当会サポーターから調達した食料品、生活物資、コープ商品券などを提供した。なお本助成金を利用して、食料品保管のために家庭用冷凍庫を購入しシェアハウス内に設置した。くわえて、延べ145名に相談支援・就労支援(うち17件が同行を伴う)を行った。本事業を通して、引越の手伝い・家具の設置、幼稚園の紹介、コープこうべのCOOPIカード申請同行、役所同行、病院同行、支援金や在留資格についての情報提供を行った。さらに、3名のウクライナからの避難民の方が長期的な就労先を見つけた。3)日本語学習支援(PHD協会)シェアハウス内外の計8人(5カ国)を対象に合計46回(通常は2時間のクラス)の日本語教師による日本語教室を実施した。学習者のニーズに合わせて、日本語能力検定試験の準備、社会保険制度や在留資格に関する語彙、特定技能資格取得のための指導、病院での受け答えのロールプレイなど自立へ向けた日本語指導を行った。4)広報活動PHD協会Facebookページで本事業の活動を計6回紹介した。2回は、居住支援活動の紹介動画(ベトナム語・ミャンマー語の字幕付き)を公開した。残り4回は、支援活動の紹介3回、活動完了報告を1回投稿した。加えて、第一言語コミュニティへの積極的な情報発信により、バイリンガルスタッフを経由して9名の支援を必要としている方に繋がった。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
本事業から見出された主な課題と今後の取り組みは以下の3点である。1)行政による支援のギャップ:行政によるサービスの提供は画一的で中心部に集中しているために、遠隔地で生活する外国人への支援が手薄になる場合や、相談者が持つ個別のニーズに対応できていない場合が多い。ウクライナ避難民の場合も、地理的な問題で行政のサービスが受けられない人たちや、特別なニーズを抱える人たちに対する支援では特に、民間支援団体が機動性を活かしてギャップを埋めているケースが多い。今後の取り組みとしては、行政や相談窓口ではアプローチできていない外国人にアウトリーチして支援を届ける。2)自立に向けた支援の不足:食料や住居の提供など緊急対応を行った後には、相談者が困窮状態から抜け出してより安定した生活を送れるように経済的・社会的な自立に向けた支援が必要な場合が多いが、現在、緊急対応から自立支援まで総合的な支援を行っている団体は限られる。今後の活動でも、相談者の自立に向けた支援を行い、困窮に再び陥らないようにサポートする。特に社会的に孤立している外国人に対しては、相談者が生活する地域の組織・団体や第一言語コミュニティとの連携を模索して、より安定した生活を送れるように支援する。3)ウクライナ避難民以外の外国人への支援:ウクライナ避難民の状況についてはメディアでも取り上げられていることもあり、社会的な関心が高く、支援の現場においても行政や企業から前例がないほど手厚い支援が提供されている。その一方で、高まった関心や支援の輪が、ウクライナ避難民以外の困窮する外国人には拡がっていっていない状況にある。今後の取り組みとして、ウクライナ避難民の受け入れをきっかけにして高まった日本国内の難民への社会的な関心や支援の輪が、ウクライナ避難民以外にも拡がることを目指して活動する。ことあるごとにウクライナ避難民以外にも困窮している外国人の方がいることを伝え、支援の対象にならないか働きかけていく。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/PHDfoundation/posts/pfbid0Sncj6ZALHdn47JrF7rUGLZ7YQnFDSd2LjefFBYbmDKJHBKvnqEBPEGjDrnmu9Ejql
http://www.phd-kobe.org/news/%e3%80%90%e8%b5%a4%e3%81%84%e7%be%bd%e6%a0%b9%e3%80%80%e6%96%b0%e5%9e%8b%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e6%84%9f%e6%9f%93%e4%b8%8b%e3%81%ae%e7%a6%8f%e7%a5%89%e6%b4%bb%e5%8b%95%e5%bf%9c%e6%8f%b4%e5%85%a8/
寄付してくれた人へのメッセージ
PHD協会は、神戸市を中心に兵庫県で生活される難民や避難民、またコロナ禍の影響などで生活に困窮する外国人の方々への支援活動を行っています。本助成事業では、連携するNGO神戸外国人救援ネットが窓口として相談を受けて、当会は運営するシェアハウスで生活する外国人を中心に居住支援・生活支援を実施し、また必要に応じて日本語の学習支援を行いました。この活動を通して合計で182名の生活にお困りの外国人に、食料や生活物資の配布、住居の提供、役所や病院への同行、法的支援、日本語学習指導、情報の提供など必要なサポートを届けることができました。同事業にご協力、ご寄付をくださった皆様に心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。私たちは、引き続き、支援を必要とする外国人の方たちへの支援活動を続けてまいります。今後ともご支援・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。