2017 年3月までに、避難指示の解除や、自主避難者に対する住宅支援の終了など、広域避難者をめぐる環境が大きく変わることをうけて、2016 年度を調査期間と位置づけました。
2017 年度からの延長プログラムを実施するにあたり、支援団体や自治体、避難当事者の状況やニーズを把握するために、「これからの広域避難者と支援に関するアンケート調査」を行いました。
調査にあたっては、助成審査委員の松田曜子氏(長岡技術科学大学 環境社会基盤工学専攻 准教授)監修のもと、プロジェクトチームの東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)が、調査の企画、集計、分析、考察を行いました。
広域避難者(以下、避難者)の存在を把握し、実際に支援にかかわっている(支援終了も含む)自治体は6割、社会福祉協議会(以下、社協)では4割を超えていました。
一方、支援にかかわっていない自治体の理由として、「避難者からの要望がないから」と回答した自治体が34.8%、社協は34.6%、「避難者の状況や実態がわからないから」と回答した自治体が24.3%、社協は44.8%という結果となりました。
さらに、今後の避難者支援に関しては、「予定や計画がある」(自治体16.6%、社協9.9%)、「通常業務のなかで必要に応じて対応」(自治体29.7%、社協27.2%)に次いで、「要望などがあれば対応」と回答した自治体が22.8%、社協26.4%
となっており、自治体や社協の支援を引きだすには、避難者の状況や要望を伝えることが重要であることがわかりました。
避難者を対象とした調査では、避難者が「悩みや困りごとを相談したことがある機関」として多く挙げていたのは「避難者支援団体」、「行政窓口」、「避難当事者団体」であり、それ以外の相談先も含めると、相談した人の58%が、ある程度以上解
消したと回答しています。
一方、「いつまで支援が必要と感じているか」という質問に対し、半数以上は「放射能の心配がなくなるまで」と回答しています。さらに、自由回答からは、避難生活が長期化し、経済的にも精神的にも悩みが多様化し、深刻化しているケースがあることも明らかになりました。
そのほか、調査結果からは、自治体や社協のほかに、地域の関係機関・団体、弁護士・司法書士等専門家などとつながることが、避難者の多様な悩みや困りごとの解決の一助となることなどもうかがえます。これらの結果は、本プログラムの充実に活用していく予定です。
これからの広域避難者と支援に関するアンケート調査概要(PDF形式、0.8MB)
これからの広域避難者と支援に関するアンケート調査報告書(PDF形式、2.7MB)