2018年12月27日
平成30年12月20日(木)に「平成30年度赤い羽根福祉基金助成事業報告会」を開催いたしました。助成活動団体29団体が一堂に介したほか、運営委員および審査委員も出席し、助成事業の発信について考える機会としました。
運営委員である金田晃一氏(株式会社NTTデータ)より企業の立場からスピーチいただきました。 金田氏のこれまでの5社における社会貢献活動の経験から、NPOが活動の成果を企業に効果的に開示するためには、次の4要素が大切であることが示されました。
(1)活動の記録を正確に「のこす」
(2)担当者や裨益者の声など活動現場の臨場感を「つたえる」
(3)ロジックモデルなどでインプットからインパクトまでの活動のプロセスを透明性高く「ひらく」
(4)数値や金額などで活動の成果を「はかる」
審査委員長の和田敏明氏(ルーテル学院大学名誉教授)のコーディネートにより、助成1年目のColabo、2年目の豊中市社会福祉協議会、3年目のKHJ全国ひきこもり家族会連合会の3団体から取り組み紹介をいただきました。
Colaboからは、「夜の街をさまよう10代の少女のための「夜カフェ」を通じた相談活動」の報告がありました。 じぶんから相談に来ることはあまりない少女に支援するために、繁華街にバスが出向いて実践する「夜カフェ」は、制度的なはざまを埋める重要なポイントであることが報告され、基金でしか成しえなかったという言葉をいただきました。
豊中市社会福祉協議会からは、農園づくりを通じた、シニア世代の社会参加と健康づくり「豊中あぐり」の活動が紹介されました。 定年後の男性を「土」を使って家から引っ張りだしたことで得られた効果と、シニアの男性が地域において新たな役割を得たことが報告され、大阪北部地震の安否確認等にも「あぐり隊」が大活躍したというお話もありました。
KHJ全国ひきこもり家族会連合会からは、3年間かけて各地で開催してきた、ひきこもり者本人・家族・支援者がフラットで率直に話せる対話の場「つなかん」を中心とした活動が紹介されました。 「つなかん」の腰を据えた取り組みを通じて本人たちの活動範囲が広がった、家族の意識の変化といった効果があったことが報告されました。
報告者からは、赤い羽根福祉基金のもつ、制度のはざまに対応する活動を評価する積極性や、人件費等管理費も助成対象とすることで活動の立ち上がりを支援できる柔軟性、最長3年の助成を行うことで活動の継続性が担保されるしくみであることなどが活動に有効である主旨の発言がありました。
報告会最後のプログラムは「誰のため?何のため?助成事業の成果とは」をテーマに、参加者に自由に意見交換をしていただきました。ファシリテーターは審査委員会副委員長である、永井美佳氏(大阪ボランティア協会事務局長)に務めていただきました。
ワールドカフェ形式で、活動分野や支援の対象も異なる団体のメンバーとの貴重な交流の機会として設けた交流会でしたが、分野を超えた活動から思わぬヒントが得られたなど、参加者にとって貴重な意見交換の機会となりました。
[参加者からのふりかえりシートより(抜粋)]
・「報告書」だけでない成果の見せ方、工夫ができることを学んだ。
・違う分野でも共通の課題や解決方があると認識できた。
・各々、新しい幸せの価値をつくっていくなかで、つながりや広がりの必要性を感じた。
今後も、赤い羽根福祉基金は助成活動団体との交流を大切にしながら、助成を通じて社会課題をともに解決する場づくりをめざして活動していきます。
なお、平成31年度助成については、現在応募受付を行っています。(締切:平成31年1月21日必着)
ご応募を検討されている方は下記より詳細をご確認ください。